KAWASE BIIKI

2018年上半期まとめと下半期の見通し

まずは上半期のおさらいから。

 

年初の為替市場は、米国ドル安・ユーロ高で始まりました。2月中旬まではこの動きが続き、その後値動きが縮小、レンジ相場になります。レンジ相場は2ヶ月ほど続いたのですが、4月に入り急に動きが出てきます。米国ドルが上昇、ユーロと新興国通貨が急な下落とないります。結局、上半期全体を見ますと、米国ドル高・ヨーロッパ通貨・新興国資源国通貨安で終了しそうな感じです。

米国ドルは上下に動いたため、値幅はあったのですが、現在の米国ドルの水準は昨年末と比べ、2〜3%程度高とそれ程大きな動きにはなっていません。主要国通貨では日本円が3月まで上昇も、その後下落。イギリスポンドは4月頃まで堅調も、その後下落と、4月頃を境目に「往って来い」の動きになっています。

より大きく動いたのは、新興国通貨で、トルコリラ・メキシコペソ等、個人投資家に人気の通貨で、大幅な下落が見られました。直近では南アフリカランドも下落基調を示しています。

また、原油価格が昨年後半から大幅に上昇していますが、産油国通貨はロシアルーブル・ノルウェークローネ・カナダドル・メキシコペソと対米国ドルで全ての通貨が値下がりとなりました。こちらはやや意外な感じがします。

 

上半期の為替市場がこのような動きになった要因は大きく2つです。米国FRBのバランスシート縮小に伴う、米国長期債の金利上昇。そして昨年後半から積み上がっていた、ユーロの投機筋ロングポジション(米国ドルのショートポジション)の解消です。

特に、ERBのバランスシートの縮小は徐々に加速していて、これが新興国通貨に与えた影響は相当大きかったと考えられます。

 

この半年の相場は、後から考察する分には分かり易い相場だったのですが、実際の値動きを見ている時には、理解しづらい動きも多く、面倒くさい相場環境だと思えていました。主要国通貨間の値幅がそれ程大きくなく、どの通貨をベースで考えれば良いのか、常に迷わされる値動きでありました。一番シンプルな動きだったのは、新興国通貨の下落で、この動きを狙うというのが正解であったと思われます。個人的にはユーロの上昇予想をしていたので、これが大きく外れた時点で、様子見を決め込むという状況となっていました。

 

 

下半期の予想ですが、こちらも難解です。

基本的には、上半期の相場と同様、新興国通貨の下落を狙うのが一番確実性が高いと予想します。

 

年後半のスケジュールで、為替市場への影響が大きそうなものが、7月のFRBのバランスシート縮小の加速(資産売却の拡大)と、9月のECBの量的緩和の縮小です。ここにさらに、FRBは2回の利上げが想定されることから、市場全体が緊縮的な動きになることが想定されます。

 

そうなりますと、やはり厳しいのは新興国資源国通貨です。ファンダメンタルズが良くない、トルコリラ・ニュージーランドドル辺りを中心に下落が予想されます。

主要国通貨では、日本円が手堅い動きになりそうですが、決め手に欠けます。相場の中心をになってほしい米国ドルは、ここから上抜ける力は小さいのですが、下落する理由も無いため、なんともいえない動きになりそうです。

 

世界経済が堅調なため、急な全面リスクオフのような動きにはならないと思われます。それでも、個別に新興国・資源国通貨で大きな下落になるもの出てくるのではないでしょうか。株式市場や債券市場を見ながら、世界全体の動きをじっくりと観察していたいところです。

ここからの為替相場は、経常赤字の国の通貨は絶対ダメ、(国債格付けが低いような)新興国の通貨は絶対ダメという、ある意味分かり易いといえば、分かり易い相場になると思われます。主要国通貨感の値動きは小さいかもしれないため、新興国通貨市場が主戦場になりそうです。

 

 

 

明日から、個別通貨の予想をしていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

| コラム | 06:10 | comments(0) | trackbacks(0) |

マンスリー為替レポート2018・5

マンスリーって付けましたが、たぶん不定期。

 

為替市場は、米国ドル独歩高、新興国通貨安が続いています。米国ドルインデックス(ドル指数・DXY)は、93.8と昨年12月以来の高値、米国ドルは年初から2月上旬までは、下落基調でしたが、この動きをすべて戻したことになります。下落が大きな通貨は、メキシコペソやトルコリラ・ロシアルーブルなど、個別に事情はありそうですが、総じて信用力が低い国の通貨が大きく売られています。ただ、ユーロやオセアニア通貨・日本円も対ドルでは下落していて、米国ドル独歩高の動きであるのは間違いありません。

このような動きは、米国長期債の金利上昇を受けてのものと考えられますが、根本的には、米国FRBのバランスシート縮小の影響とみています。

 

 

米国FRBは昨年2017年10月からバランスシートの縮小に着手しています。当初は月100億ドルでしたが、3ヶ月ごとに縮小幅を広げ、現在は月300億ドルペースで縮小を行っています。月300億ドルというのは、金融市場の規模からすればそれ程大きくは見えませんが、一方的な売却になるため、その影響はイメージよりも大きくなります。

このバランスシート縮小には金融市場から資金を奪う効果があります。FRBが大量の有価証券を売却するため、売却された金額分だけのその他の商品が、市場では買われず、値を落とす必要が出てくるということです。

今回、これの影響を直接受けたのが、米国の長期債であり、長期債が値下がり(金利が上昇)したことで影響を受けたのが、新興国債券や低格付け債券だったのだと思われます。また、米国株式市場にも一定の影響を与えたと考えられます。

バランスシートの縮小は、7月からは月400億ドル、10月からは月500億ドルのペースと加速するため、米国長期金利上昇からの、米国ドル独歩高の展開は長く続く可能性がありそうです。

 

 

もうひとつ、為替市場に大きな影響を与えそうなのが原油価格の動向です。原油価格はWTIが昨年6月に1バレル=45ドルを割り込んでいましたが、その後急上昇して、足下で、1バレル=71ドル台で推移しています。また北海ブレント原油は、先週一時1バレル=80ドルの大台を突破しました。

需給の逼迫に加え、投機筋の買いが増加したことが、原油価格上昇の理由になりますが、今年3月後半辺りからは、投機的な買いは減少していて、実需層が値段を形成している格好になります。この価格帯になりますと、米国シェールオイルの増産が加速するという見方もありましたが、現在のところ増産幅は少ないものなっていて、需要の増加に追いついていません。需給はさらにタイトになる可能性はあります。もちろん、足下の動きには、シリア情勢やイランの核合意の問題などといった地政学的な影響も否定はできません。

 

原油価格の為替に与える影響ですが、好影響側で大きいのはロシアルーブル・ノルウェークローネ・カナダドルまで。ロシアは為替が下落していることもあり、経常収支が過去最高になる可能性もあります。悪影響側では、日本円・中国元・ユーロといった主要国通貨の他、ニュージーランドドルやポーランドズロチ・南アフリカランドまで幅広く影響がありそうです。

特に、上記のバランスシート縮小の影響を受けそうな通貨で、原油価格の上昇でも悪影響を受けそうな通貨は、かなり厳しいものになると考えられます。現在のところ、原油価格の上昇の影響は、まだ為替には織り込まれてなく、これからの動きに注意が必要になります。

 

 

 

正直、昨年FRBがバランスシート縮小を開始した段階で、現在のように為替に影響を与えるとは想像できませんでした。米国ドル自身の動きが、かなり想定と違っていて、相場を見誤りやりました。

ここからは、バランスシート縮小がさらに加速させるということも、気にしなければならないでしょうし、ECBが、量的緩和を縮小させると言うことも、考慮する必要が出てきそうです。相場が不安定化する恐れもあります。

そのような状況の中で一番確実なのは、新興国通貨が下落するということでしょうから、ここら辺を中心に、ポートフォリオを作成するというのが、リスクの少ない行動になるのではないでしょうか。

 

 

| コラム | 11:19 | comments(1) | trackbacks(0) |

各国の石油輸出入・天然ガス輸出入・経常収支一覧

各国の石油輸出入・天然ガス輸出入・経常収支一覧です。

 

石油輸出入額

対GDP比

2015

天然ガス輸出入額

対GDP比

2015

経常収支

対GDP比

2017

 
日本 -1.1% -1.0% 4.0%
オーストラリア -1.2% 1.0% -2.3%

ニュージーランド

-1.7% 0.0%

-2.7%

中国 -1.2% -0.2% 1.3%
 
ユーロ圏(※1) -1.3% -0.7% 3.5%

イギリス

-0.3% -0.2% -4.0%
ノルウェー 7.2% (※2)7.4% 5.1%

ロシア

11.4% 3.4% 2.6%
ポーランド -1.7% no data 0.1%
トルコ -0.6% no data -5.5%
南アフリカ -3.0% -0.1% -2.2%
 
米国 -0.5% 0.0% -2.4%
カナダ 2.4% 0.3% -2.9%
メキシコ 0.2% -0.3% -0.4%
ブラジル -0.2% -0.3% -1.6%
 

 

元データ 世界経済のネタ帳

 

 

値は+が純輸出。−が純輸入を表します。

 

※1 ユーロ圏の石油輸出入額・天然ガス輸出入額はユーロ圏主要6カ国(ドイツ・フランス・イタリア・スペイン・オランダ・ベルギー)を使用。経常収支のみユーロ圏の値となっています。

 

※2ノルウェーの天然ガスの輸出入額データは輸入額データが欠損しているため、輸入額を0で計算しています。

 

 

| 経済データ | 07:10 | comments(0) | trackbacks(0) |

買いたい通貨・売りたい通貨2018年3月

【為替予想2018年 3月〜】

 

★強い   ・ユーロ

 

★やや強い ・日本円(▼)          ・ロシアルーブル        ・ポーランドズロチ

 

★中立   ・オーストラリアドル(▼)   ・中国人民元(△)       ・南アフリカランド

     ・ブラジルレアル

     

★やや弱い ・イギリスポンド  (▼)                ・ノルウェークローネ(△)   ・アメリカドル

      ・メキシコペソ         

 

★弱い   ・ニュージーランドドル     ・トルコリラ          ・カナダドル(▼)

 

 

・強い    今後半年〜1年で、実質実効為替レートが  +15% 〜

・やや強い  今後半年〜1年で、実質実効為替レートが  +5% 〜 +15%

・中立    今後半年〜1年で、実質実効為替レートが  - 5% 〜 +5%

・やや弱い  今後半年〜1年で、実質実効為替レートが  - 5% 〜 -15%

・弱い    今後半年〜1年で、実質実効為替レートが  -15% 〜

  

(△)は、昨年末の予想と比べ、予想を改善させた通貨。

(▼)は、昨年末の予想に比べ、予想を悪化させた通貨。

 

日本円の予想変更ですが、これはここまで日本円が上昇してきたことを反映した結果で、日本円のファンダメンタルズが為替の上昇以外の部分で悪化したわけではありません。その他の通貨の予想は直近の経済指標などを考慮しています。オーストラリアやカナダはなにか良くない雰囲気が出てきています。

 

 

2018年の為替市場は昨年までと打って変わって、ボラティリティが出てやや忙しい展開です。1月はユーロが上昇し米国ドルが下落、2月以降は日本円が上昇し、新興国・資源国通貨が大きく売られました。2月以降米国ドルの動きが鈍くなっていて、日本円が為替市場全体を主導した動きになっています。

2月の米国株の下落から、金融市場全体がややリスクオフムードになり、直近の米国の貿易関税の話題からそのリスクオフが強まったといった印象です。FRBのバランスシート縮小を相まって、新興国通貨には厳しい相場環境となっています。キャリートレードの巻き戻しが起こっているといっても良いと思います。

 

今後の予想ですが、全体としては現在のリスクオフの相場環境が続くと予想します。米国の株価の影響とFRBのバランスシート縮小の影響が大きく、金融資産を縮小する動き、新興国から資金を引き揚げる動きはしばらく継続することになりそうです。

そのため為替市場では、日本円高、新興国通貨安が基本的な予想となります。その中で、割安感が強いユーロと、今回の問題の震源地である米国の通貨ドルが、いつ動き出すのかがポイントになりそうです。この米国ドルが大きく下落するようですと、市場全体の動きが大きくなり、ユーロは当然大きく上昇することになるでしょうが、新興国通貨も、上昇する可能性が出てきそうです。

注目は世界各国の金利状況です。米国が粛々と利上げを続ける中、その他の国の中央銀行がどのように動くのか、特に、民間・個人の債務額が大きくなっているカナダやオーストラリアの動向が気になるところです。さらに、好調なユーロ圏経済の中で、ECBの量的緩和縮小・利上げの話題も注目を浴びる機会が増えることになりそうです。

 

 

| コラム | 12:38 | comments(0) | trackbacks(0) |

実質実効為替レートの回帰性に関するよくある勘違い

実質実効為替レートの回帰性についての話です。

 

実質実効為替レートとは、通貨ペアではなく、各通貨それぞれの強さを表す「実効レート」と、通貨の変動に影響する物価の変動を考慮した為替レートである「実質レート」を組み合わせたもので、各通貨の本質的な強さを直接表す値になります。

FXでは、実質実効為替レートは、「(実質金利が0の場合の)スワップポイントを加味した、為替の値動き」を表すため、この数値が上昇した通貨の買いポジションを持っていれば利益がでて、この数値が下落した通貨の買いポジションを持っていた場合は、損失を被るということになります。

 

 

この実質実効為替レートには、「一方向に動いた場合に、元の値に戻ろうとする性質(回帰性)」が備わっているのですが、理論上平均回帰ではない(元に戻ろうとするのだけれど、平均値に近づくわけではない)という大変厄介な性質になっていて、そのため取り扱いには非常に神経を使う必要があります。この「実質実効為替レートの回帰性」については著名な為替アナリストでも平均回帰すると勘違いしている場合が多々見られ、「実質実効為替レートが長期平均から大きく乖離しているため、元に戻ると予想します。」など間違った解説される場合があり注意が必要となっています

 

 

それでは、実質実効為替レートがどのように動いているのか見ていきます。

 

一般に通貨が変動する要因としては、

1 需給の変化(実貿易を除く、通貨の需給・主に投資資金)

2 貿易の強さの変化(実貿易)

3 物価の変化

 

の三つがありますが、このうち「3物価の変化」は実質実効為替レートにすでに織り込まれているため、実質実効為替レートの変動要因としましては、「1 需給の変化」「2 貿易の強さの変化」の二つになります。

 

「1需給の変化」とは、例えば投資家が、その国の金融資産(株式・債券・為替)を買ったり、売ったりすることです。これは買われる時期と、売られる時期があるため、周期的に変化します。つまり、これが実質実効為替レートの回帰性の要因になるものです。この働きだけを考えますと、(金融資産の売り買いは合計すると0になるため)実質実効為替レートは平均回帰をすることになります。

それでは、なぜ実質実効為替レートが平均回帰しないかといいますと、それは「2貿易の強さの変化」が実質実効レートに影響を与えるためです。

「2貿易の強さの変化」は、その国の貿易の強さがどう変わったかを示しているのですが、こちらは回帰性を持ちません。貿易の強さが変化、産業が進化し、貿易力が強化された場合は、実質実効為替レートは上昇することになり、産業が弱体化した場合は、実質実効為替レートは下落することになります。

つまり、為替の変化が「1需給の変化」によってなされた場合は、回帰性が働くため、為替は元に戻ろうとするのですが、為替の変化が「2貿易の強さの変化」によってなされた場合は、回帰性は働かず、通貨は元に戻らないということになるのです。

 

実質実効レートの動きの多くは「1需給の変化」が主な要因ですが、資源国通貨などでは、資源価格の急変動により「2貿易の強さの変化」が為替を動かす場合が見られます。また長期で為替を見た場合では、「1需給の変化」は循環するため「0」と考えられ、「2貿易の強さの変化」が累積して為替レートに影響を与えることになります。

 

実際の実質実効為替レートで見ていきますと、例えば、中国人民元の実質実効為替レートは、2006年頃から上昇し、現在の値は、1994年からの平均値と比べ20%以上高い水準ですが、貿易収支・経常収支共に黒字で、現行の中国人民元の値は割高ではありません。これは、この期間に中国の産業が急激に発展し、「貿易の強さ」が強化されたためと考えられます。

逆にトルコリラでは、現在の実質実効為替レートは、1994年からの平均値と比較し5%以上下落した値ですが、これはトルコリラが割安であることを示していません。貿易収支・経常収支共に大幅な赤字で、トルコリラの現行水準は、かなりの割高であると考えられます。特にここ数年は、実質実効レートが大幅に下落している(トルコリラを買いポジションで保有していると損失を被る)状態ですが、貿易指標の赤字幅が拡大していて、この期間に「貿易の強さ」が、大幅に悪化していると推測することができます。

 

 

 

| コラム | 04:54 | comments(0) | trackbacks(0) |

アメリカ個人貯蓄率の低下とその影響

為替市場は、少しずつボラティリティが出てきた状態。日本円から見ると一方的が動きに見えますが、アメリカ主導な様子です。2月は弱めな動きになったユーロも、ようやく底を見た感じでしょうか。暦も3月になり、ここから新しい相場が始まりそうな雰囲気です。

 

世界の株価が急下落するなど、リスクの高まりに関心が向けられる中、最近少し気になるのが、アメリカの貯蓄率の低下です。世界の民間・個人債務が増加する中で、その対岸にある貯蓄はいくつかの国で減少しています。

 

★各国の個人貯蓄率の推移

2014〜15年の値

(アバウト)

直近の値
・アメリカ 5%台 2.4%
・イギリス 9%台 5.5%
・カナダ  4%台 2.6%
・オーストラリア 8%台

3.2%

 

※ 日本は増加、ユーロ圏は微減

 

データ元 「Trading Economics」

 

 

アメリカの個人貯蓄率の現在の値は、リーマンショックの最低値で、リーマンショック前を含めましても、ほぼ最低水準です。個人の債務がこれ以上増えにくい状態で、貯蓄が減少しているとなれば、将来的には消費が減少することにつながりそうです。

アメリカの個人消費は足下で堅調ですが、自動車の販売台数が減少しています。これはローンが組みにくくなっていることと関係しています。そうなりますと、この後はクレジットカード(リボ払い)を使用して買い物をしそうな、耐久消費財や高額商品の販売が鈍くなり、その後に一般消費財に影響を与えることになると考えられます。(住宅はいわずもがな)

 

また貯蓄率の低下は、株式市場にも影響を与えます。米国の各株式指数と個人貯蓄率には逆相関の関係があることが知られていて、これ以上個人貯蓄率が低下出来ないような現在の水準は、株価指数が天井に近いことを表していると推測されます。(貯蓄率はまだ減少の余地はなくはないですが・・・。)これは個人が株式を購入する余力が無くなっているためだと、または金利が上昇する中で、株式から預貯金への資産シフトが増えるためだと考えられます。もし、米国の株式市場が天井を付けるようですと、ここまでの相場環境が一変するとこになりそうです。

 

 

昨年2017年は為替市場は動きが少なく、世界経済も株式市場もちょうど良い状況と言われていました。そんな中で起こっていたのが、世界的な債務の増加と個人貯蓄率の減少になります。せっかく相場環境が怪しくなってきた時期ですので、こういったマクロ指標がどういったことを意味しているのかを、もう一度考える時期にきているのだと思われます。

 

 

 

 

| コラム | 13:16 | comments(0) | trackbacks(0) |

カナダ経済がちょっと危なくなってきたかもしれない

2018年の実質的な初投稿ですが、2月の中旬になってしまいました。ツイッターが便利ですし仕方が無いですね。

為替市場は年明けからアメリカドル安傾向が続いていますが、株式市場ほどは乱高下していない様子です。アメリカの長期金利の上昇が、市場を動かしている雰囲気ですが、明確な方向感があるかと言われると難しいところ。ユーロドルの動きが一段落していることからも、しばらくはボラティリティの少ない相場に戻ることになりそうです。

 

 

カナダで失業率が発表されました。

・カナダ失業率(2018年1月)  5.9%(前月比 +0.1)

なんてことのない数値ですが、少し気になったことがあるので、掘り進めてみます。

 

 

カナダの経済指標を見ていきますと、

 

・失業率 5.9%

 中長期で見て下落傾向→横ばい

 

・GDP成長率 0.9%

 最悪期は脱して、低成長ながら安定

 

・貿易収支 ー3185 百万カナダドル

 かなり悪い

 

・小売売上(前年同期比) 6.5%

 かなり順調

 

・貯蓄率 2.6%

 ここ数年は4%台で推移してきたものが足下で急悪化中

 

・GDPに対する民間債務 266%(2016年)

 世界最悪水準

 

・GDPに対する個人債務 100%

 かなり悪い

 

とこんな感じです。

カナダは、2014年に資源価格急落によって経済が悪化しましたが、その後資源価格がやや上昇したことで、経済も回復しています。上記の経済指標を見る限り、その後は個人消費の成長による経済の回復のようです。特徴的なのは世界最悪水準の債務です。世界的な低金利から、企業の借り入れが増加したほか、個人では都市部を中心に住宅価格が急上昇し住宅ローンが増加しました。(カナダの住宅価格は2017年中旬辺りでピークを見せ、足下では安定中と思われます。)

 

順番からいくと、住宅価格が上昇し、資産価格の増大から個人消費が増加。しかし所得がそこまで増えていないため、貯蓄が減少し、債務が増大。つまり、このままの状態は続かないよね!といったところです。

さらにこの状況から足下で金利が上昇中、「ここから失業率が上昇し始めたらまずいなぁ」と思っていたところで上記の失業率の悪化が発表されたということです。

失業率は(季節要因などのため)上下する数値のため、単月で悪化したところで特に問題は無いでしょう。しかし、カナダの経済状況を考えますと、この値をより長期で監視していく必要はありそうです。

 

 

2月になって言うことではないですが、今年のテーマは「経済危機との距離感」です。リーマンショックから10年目を迎え、そろそろ次の経済危機が気になるところです。しかし、足下では世界経済は堅調、一部バブルの懸念はありますが、基本的には良好な経済環境と思えます。次の経済危機は、正直まだ2年は先だと思っているのですが、先日の株価急落など、少しずつ変化の兆しは現れているようです。

そして、その変化の最先端を行っているのが、今回記事にしたカナダ経済になります。世界的な低金利から生まれた債務こそが、次の経済危機を作る爆弾そのものです。世界最大の爆弾を持つカナダ経済からしばらくは目を離せなくなりそうです。

 

 

| コラム | 11:38 | comments(0) | trackbacks(0) |
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