KAWASE BIIKI

アメリカ利下げの可能性

FOMCは金利据え置きで終了。為替も多少動きましたが、想定の範囲内でしょう。スイス・イギリス・南アフリカなどの政策金利もとりあえずは予想の範囲内の結果で、一段落着けそうです。

相場の興味はいろいろと尽きない状況ですが、心配なのはアメリカの金融政策の方向性です。今後、政策金利は本当に上昇させることは可能なのでしょうか。
イエレン議長は金利据え置きの理由として、「賃金が上昇していないこと」と「物価上昇が鈍いこと」を挙げました。雇用自体は強い数値を示していますが、政策金利に対してより重要なのは、物価であることは当然でしょう。しかし、この雇用情勢で、実質金利を低い(マイナス)状態を維持するとこには疑問が残ります。名目上は、現在の景況感を見て判断したわけではないようですが、経済状況を予測しての判断も加わっていると考えられます。
アメリカ経済の先行きに関しては、製造業を中心に雲行きが怪しくなっています。今後は現状よりも良い状態が続く可能性は低いのではないでしょうか。6月のFOMCの段階では、今回よりも緩和期待が高まることで、政策金利を上げにくい状況になると予想されます。(もちろん現状では、市場コンセンサス通り、利上げさせる方向性で考えたほうが自然ですが・・・・。)その後のFOMCでは、なおさらそのような状況に追い込まれることになりそうです。

政策金利が上げられない状況という点では、イギリスが先陣を切っています。2015年は雇用が回復し、政策金利を上げる機運が高まりましたが、物価・賃金を理由に先送りしています。現状では、利上げは2017移行がコンセンサスとなっており、それすらできるのかに関心が集まっている状況です。景気が悪化した場合、利下げ(量的緩和)の可能性も焦点になるなど金融政策の先行きは、不安定化しています。これを受け通貨ポンドが下落し、今後も低い水準での値動きが予想されます。

アメリカドルは現状はそれ程売り込まれていませんが、強くはない状況が続きます。この先は資源価格の底打ちから、物価の上昇は期待できるでしょう、しかしそれはアメリカも含めた、先進工業国の交易条件の悪化を示唆します。つまり、弱いスタグフレーションのような状態が、想定されるということです。当然そうなった場合、利上げうんぬんといった話ではなくなってしまうでしょうし、為替も下落する可能性が高まることになりそうです。


今回のFOMCメンバーの想定では、今年中に2回の利上げが織り込まれています。しかし、この想定は回を重ねるごとに緩和的方向に進んでいて、精度はあまり良くないものです。消費の伸びが確認できれば、アメリカ経済は成長が期待できます。しかし現状を考えると、成長を長い期間維持することは難しいと思われます。利下げの可能性を含め、幅広い選択肢のもと、為替予想をする必要性がありそうです。


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